京都民医連あすかい病院 往診センターのブログ

京都民医連あすかい病院の訪問診療を担う、往診センターのブログです。

人間はやっぱり、一人では生きられない

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私は舞台を見るのが好きで宝塚歌劇のファンです。
宝塚というと華やかな衣装、美しい男役というイメージですが、地味だけど人間愛や平和など描いた演目も多いです。かなり昔の舞台をビデオで観たのですが、山本周五郎(「赤ひげ診療譚」で有名)の作品「さぶ」がとてもよかったのです。無実の罪で囚われ人足寄場に送られた主人公。彼は「ほっといてくれ!俺に近寄るな!」と、かつての友達さぶを追い返します。追い返されても尋ねてくるさぶや周囲の仲間に次第に心を開く主人公。「ああ、仲間っていいなぁ。友達っていいなぁ」と自分自身も温かい気持ちになりました。私たちもさぶのようなことをしていることありますよね。

私は内科の医者です。一生懸命患者さんのお話を聞けば聞くほど、待ち時間は長くなって・・・申し訳ないと思っています。そんな待合では、だんだん同じメンバーが同じ外来に来られるので、仲良しになっておられるなと感じることもあります。
待合で仲良し3人組(患者さんです)・・・いつも楽しそうに話しておられる。時々喧嘩も?!と聞き耳を立てると「待ち時間が長い」と怒って出て行こうとする一人を、「どうしたんや」と追いかけるもう一人・・・あ!ここにも『さぶ』がいる!となんだか嬉しくなります。こういう場面に出遭うとなんだか「泣きたいほど」感動してしまいます。人間はひとりになりたいときももちろんあるけれど、やっぱり一人では生きられない。

山本周五郎の作品に興味を持ち、いま読み進めています。人間は失敗したり過ちして、成長するんだと励ましてくれる作品も多く、年齢問わず共感できるのでないかと思います。

N医師


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